Chu-Lips

学校案内



はぁ…

引き受けちゃったなぁ…


席に戻るなり、柚は自己嫌悪に陥った。

今まで頼み事をあまりされたことがない柚は、先生からの頼み事が断りにくかったというのが1つ。

友達も一緒でも良いと甘い誘惑に落ちて断れなかったというのが1つ。

柚の良心を傷つけたくなくて断らなかった柚だが……


「はぁ……」


やっぱり断れば良かったと後悔する柚だった。

…そうして柚が頭を抱えているとき、


『どうだったの?柚ちゃん。』


前の席で小テストの勉強をしていた佳菜子が、柚の方へ振り向いた。


「ん…それが……」


言いながら、チラッと伊津の方へ目線を泳がせる柚。

伊津はさっきから、女子に囲まれたままだ。

相変わらず、人気者ね。


『柚ちゃん?』

「ぇっ…あ…その、ね?先生におう――伊津くんの学校案内頼まれちゃって。」

『えっ!?』


案の定、驚いた佳菜子。

柚は伊津のことを“王様”と言いそうになって、危ない危ない、と安堵した。




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