断崖のアイ

*神の栄光

 深々と突き刺さっている刃を抜いて、彼はゆっくりと低く発する。

「何をしている」

「……っ」

 険しい表情に男は喉を詰まらせた。

 しかし、それ以上の問い詰めをせずベリルは目を伏せて沈黙する。その表情は少し苦々しげにも見えた。
 男は奥歯をキリリと噛みしめ、険しい視線を送る。

「そいつを野放しにしておくつもりか」

「何故、可能性を信じない」

「可能性だって? ただ危険なだけでしかない」

 男の言葉に眉をひそめる。

「お前もかつてはそうだったはずだ」

 排除されかけた過去があったはずではないのか……静かに開いた口から紡がれた声は、男の体を強ばらせた。

「命は軽い。儚いからこそ、扱いは困難なのだ」

「……」

 愁いを帯びたエメラルドの瞳を見つめたあと、口の中で舌打ちして去っていく。
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