断崖のアイ

*朱い空

 それから何度か誘いを受けたベリルだが、丁寧に時には荒々しく断り続けた。日増しに容姿はさらに美しく、その瞳は他を寄せ付けない雰囲気を醸(かも)し出していた。

 数週間後には20歳となる頃──上司はブルーに、とある報告をする。

「! ベリルを使う?」

「丁度いい頃合いだろう」

 上質な生地のスーツにホコリがないかを確認しながら応え、眉をひそめた男に上司はさらに発する。

「使えなくなるまで教育するつもりか?」

 皮肉を混ぜた言葉と共に部屋をあとにした。ブルーは閉じられたドアを睨み付け、溜息を吐きつつ目を伏せる。

 いつかは指令が下る事を理解しておきながら、いざその時が来ると心臓は早鐘を打った。ベリルに下った指令は、まず彼の力を試すものだ。
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