断崖のアイ

*信仰心

「うっ……」

「遅いお目覚めで」

 体中に走る痛みと共に意識を取り戻したユーリの耳に聞き知った声──慌ててその声に顔を向けた。

 そこには、不機嫌そうな表情を浮かべ腕を組んで木に背中を預けている泉 恭一郎が立っていた。

 ユーリは慌てて上半身を起こすも、その激痛に顔をゆがめる。

「連れて行かれたよ」

 何かを探すように周囲を見回す青年に、彼は低く応えた。

「! あなたの仲間が追っているのですか?」

「そうだ」

 言ってユーリに近づき、片膝をつく。

「キサマがいなければ捕まらずに済んだ」

 吐き捨てるように発せられ、ユーリは表情を曇らせる。

「解ったらヴァチカンに戻るんだな」

「!」

 立ち上がる泉の手首を握り、未だ残る痛みに眉を寄せる。
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