断崖のアイ

*狂信者-ファナーティカー-

「ホテルの周辺ならば出歩いても問題は無い」とベリルは言っていたけれど……半ば逃亡したような形になっている状態のため、青年はホテルから出る事を躊躇ってエントランスのカフェでコーヒーを傾けていた。

 考えてもみれば、彼はあちこちを転々としている。誰かの助け無しにそんな事は可能なのだろうか。

 組織もそれを考えなかった訳ではないだろうが、それが個人なのか集団なのかまでは掴めていない状態なのだろう。

『U n G』に知られれば、相手に危険が及ぶのは必至だ。

 まだ、彼の何も知る訳ではない青年だが相手を守るための沈黙である事は理解していた。どうして彼と行動を共にしようと決めたのか、自分自身でも実は明確に解ってはいない。

 ただ、このまま終わらせたくはなかった……己の位置を定められずに、彼に全てを預けてみようと思った。
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