彼女はきっと振り向かない



「やめてよ・・・これ以上、相良くんに迷惑かけたくないしっ」


七尾は俺の腕に抵抗を示した。


でも俺は、七尾を離してやれなかった。



「うるさい。黙って、慰めさせろ」


「何よ・・・それ」




七尾は声を上げて泣いた。まるで小さな子どもみたいに。



「だって、廉くんはっ・・・私が・・・先にす、きだったの・・・っ」


「うん」


「な、のに何でっ」


「うん」


「あの子な、の・・・っ」


「うん」



「もっと・・・最低なっ女、なら・・・憎めた、のにっ」


「うん」






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