かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「…」
「私もお父さんも美来の為を思って言ってたのよ。今度は幸せになってほしいの」
お姉ちゃんはそう言いながら、私の頭をポンと叩く。
「分かってる。でも本当にこれでいいのかな?」
「え?」
「正紀からギターや夢を取ったら何も残らないもん!」
「アンタ、自分の彼氏をよくもそこまで…」
お姉ちゃんはそう苦笑している。
まあ さすがにそれは冗談だけど、今の正紀は抜け殻みたいになってる。
「私、今の正紀を見てらんないよー…」
「美来…」