かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -

「そりゃあ、まあ…。愛だろ?」

正紀は冗談ぽくそう言う。

「でも 本当は音楽やりたくてウズウズしてる」

「え?」

「さっきも足でリズム刻んでた」

「あれ~? そうだったか?」


はぐらかすような口調の正紀。

私は確信した。

きっと彼の頭の中は今も音楽で一杯なんだ。

さっきもベランダから景色を眺めながら、頭の中で曲作りでもしてたんだろう。




「…ねぇ、正紀」

私は決意をして正紀を見上げる。

「何?」

「VEGASの話、受けなよ」

< 218 / 258 >

この作品をシェア

pagetop