かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「そりゃあ、まあ…。愛だろ?」
正紀は冗談ぽくそう言う。
「でも 本当は音楽やりたくてウズウズしてる」
「え?」
「さっきも足でリズム刻んでた」
「あれ~? そうだったか?」
はぐらかすような口調の正紀。
私は確信した。
きっと彼の頭の中は今も音楽で一杯なんだ。
さっきもベランダから景色を眺めながら、頭の中で曲作りでもしてたんだろう。
「…ねぇ、正紀」
私は決意をして正紀を見上げる。
「何?」
「VEGASの話、受けなよ」