かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「それにウチの息子、難病なんです。正紀から聞いてます?」
『チラッとだけ』
「そんな事情があるんで余計にですよね。散々 正紀にも負担掛けてきちゃったけど、これ以上はもう…」
『美来ちゃん…』
「私、ここ数日ずっと考えてたんです。私の存在はこれからの正紀にとって邪魔になるんだろうってて」
『そこまでは言わないけど』
真紀さんは少し申し訳なさそうに言葉を続ける。
『ただ少しの間だけ距離を置いてほしいの』
「…はい。少しじゃなくって」
『え?』
私はギュッと携帯を握り締める。
「私、正紀とは別れますー…」