かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -




堪えていた涙が溢れ出す。

私は正紀の背中をギュッと握り締めた。




「本当にそれでいいの? 正紀の夢は…?」

「さっきも言っただろ? 音楽はここでもできる。趣味としてだってできる!」

正紀がそう子どもみたいな笑顔を見せる。

「それに俺みたいに才能あると、いつか声かかるかもしれねーし? オッサンになってからデビューしちゃうかもよ」

「…ハハ」


やっぱ正紀は正紀だ。

能天気すぎる…!




「今はそれよりも大事な夢、見つけたんだ」

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