かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -

「メアドでも教えてもらおうと思ってさ」

「メアド? 何の為に?」

「何ってせっかく再会したんだし」

「1夜限りの関係なら、さっさと消えたほうが良いでしょ?」

「美来…」


私は正紀から背を向けた。

本当は嬉しいのに。

嬉しいけど、私はもう…。


「美来、俺は嬉しかったよ」

「え?」

「美来とまた会えて」

「…」

「あの夜のことは悪かっと思ってる。酔っ払ってる奴相手に、卑怯だよな?」

「うん、卑怯っ!」

私はプイッと正紀から視線を外す。

< 53 / 258 >

この作品をシェア

pagetop