フィレンツェの恋人~L'amore vero~
不思議な子。
ハルの横顔を見つめながら、そんな事を思う。
無口なのかと思いきや、意外とおしゃべりなくせ、秘密主義。
謎めかしくて、奇妙な子。
スウェットを着た事もなければ、パプリカを知らなくて。
だけど、電卓のような速さでパチパチと数字を叩き出す頭脳。
「ハル」
「うん、何?」
この子は一体、何者なのだろう。
「いいえ。何でもないの」
「ふうん。変な東子さん」
ハル。
あなたは、誰?
地下食品売り場で買い物を終え、私たちは一階のフラワーショップでポインセチアの鉢植えを買った。
五号鉢からたっぷりこぼれる、真っ赤に染まる葉。
「これをクリスマスツリーの代わりにするのはどうかな」
とハルが言い出した事がきっかけだった。
金額は三千五百円。
「これはぼくが持つから、悪いけど、これは東子さんが持ってくれる? こっちの方が軽いでしょ」
ハルは大量に買い込んだ食材の袋を、
「ありがとう」
私はポインセチアの鉢を胸に抱えた。
「真っ赤。不思議ね。どうして赤いのかしら、ポインセチアの葉って」
私が呟くと、ハルが言った。
「イエス・キリストの血だと言われてるんだ。ヨーロッパでは、そう伝えられてる」
「へえ、初めて聞いたわ」
ハルの横顔を見つめながら、そんな事を思う。
無口なのかと思いきや、意外とおしゃべりなくせ、秘密主義。
謎めかしくて、奇妙な子。
スウェットを着た事もなければ、パプリカを知らなくて。
だけど、電卓のような速さでパチパチと数字を叩き出す頭脳。
「ハル」
「うん、何?」
この子は一体、何者なのだろう。
「いいえ。何でもないの」
「ふうん。変な東子さん」
ハル。
あなたは、誰?
地下食品売り場で買い物を終え、私たちは一階のフラワーショップでポインセチアの鉢植えを買った。
五号鉢からたっぷりこぼれる、真っ赤に染まる葉。
「これをクリスマスツリーの代わりにするのはどうかな」
とハルが言い出した事がきっかけだった。
金額は三千五百円。
「これはぼくが持つから、悪いけど、これは東子さんが持ってくれる? こっちの方が軽いでしょ」
ハルは大量に買い込んだ食材の袋を、
「ありがとう」
私はポインセチアの鉢を胸に抱えた。
「真っ赤。不思議ね。どうして赤いのかしら、ポインセチアの葉って」
私が呟くと、ハルが言った。
「イエス・キリストの血だと言われてるんだ。ヨーロッパでは、そう伝えられてる」
「へえ、初めて聞いたわ」