一人鬼ごっこ
第六章 標的
「……」

『…………』

『………………』

 …………気まずい空気。

 俺こういう空気苦手なんですけど。

「あっ、あのさ!!」

 気まずさに耐えられなくなり俺は立ち上がって言った。

 二人の目線が俺に。

 何か言わなきゃ――
 何か……何か……

「トイレ言ってくる!!!」

『あ……そう』

 ――俺の馬鹿ッッ!!!!

 仕方ないので部屋を出て、トイレに行った。



 ジャー……。

 トイレから出ると、部屋の方から声が聞こえた。

『きゃあっ!!』

 千秋の声――?

『……母さん!?』

 京介の声――?


 俺は不吉な予感がして、廊下を走った。
 そして部屋の前まで行き、ドアノブに手を掛けた時。

『うわあぁっ!!!!』

 叫び声が――

『京介っ!?!?』

 俺はドアを勢い良く開けた。


「あ……れ……?」

 部屋に居たのは千秋だけだった。

『きょ……椿ぃっ……!』

 千秋は俺を見ると、俺に駆け寄り抱きついた。
 微かに千秋の体が震えている。
 そして、千秋が驚くべき言葉を言った。

『京介が……消えちゃった……!!』
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