一人鬼ごっこ
第十六章 添寝
 そのまま暫らく2人で泣いていた。



『――あのさ』

 直樹さんが口を開いた。

『お前達、1つの布団の中で密着してて危ない関係に見えるんだけど』

 1つの布団……
 密着して……
 添い寝……
 危ない関係……

「いやいや!!」

 俺は慌てて起き上がった。

『あ――別にそのままでも良かったんだぞ?』

「何言ってるんですか!!」

 俺は懸命に首を振った。

 って言うか直樹さん、何でそんなににやにやしてるの。

 その時、服の裾を引っ張られた。

「ん?」

『椿ぃ……んん……』

 慎、寝呆けてやがる。
 ってか寝てたのかよ。

『ほら、誘われてるぞ』

 ちーがーうーっ!!

『…………んにゃん』

 慎は目を瞑ったまま何かを呟いている。

 んにゃんって何だよ、んにゃんって。

「馬鹿、起きろ」

『…………』

 起きない。

「起ーきーろっ!」

 俺は慎の体を叩いた。

『…………』

 起きない。


 俺は慎の脇腹をくすぐった。

『ひゃあっ!!!』

 よし、起きた。
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