貧乏お嬢様と執事君!
「………本当に連れて行ったの?」
カプチーノを啜りながら、椿野 櫻子は驚愕した。
黒いカールの髪をカプチーノへとつけない為に、片手で上げながら。
「うん。
でもそのあと皆ひきつった笑顔で帰っちゃったけどねー」
小さなケーキを目の前にして喜んでる鷹司 沙良は、フォークを握っている。
そのよく磨かれた銀のフォークをためらいなく突き刺す。
上に乗っていたクリームがむなしく飛んだ。
お嬢様らしからぬ行為に、椿野は無言を重ねた。
こんな貧乏でこんなお嬢様らしくない女が学園一の人気者?
見た目と第一印象は恐ろしいものだな、という言葉をカプチーノと一緒に飲み干す。