ブラウン・アイズ
教室に戻ると、桜井が待っていてくれた(…のかなぁ)

つまり途中まで一緒に帰れるのか。



教室の外はもう真っ暗だった。


俺は帰り支度をしながら、


単に一人で帰るのが怖いから待ってたのか…?

とか考えて、一人モンモンとしていた。



「行こうか」

俺は桜井を促して、教室を出た。


暗い廊下に2人の足音が響く。

何となく話すことがなくて、気まずい。



「深木、サッカー部だっけ」


「うん。…おまえは?」



「私?私は陸上部だけど…」


「・・・けど?」




「サッカー部にしようか迷ってるんだ」


「はぁ!?」



俺は桜井をじっと見た。


うそ言ってるようには見えないけど……




「なーんてね。うっそ」

桜井は、真面目な表情を崩して言った。



「な、なんだよ。俺、ほんとかと思った…」


「ははっ」


俺と桜井の間に流れていた

何となく硬い雰囲気が、一気に和んだ。




他愛もない話をしていたら、
あっという間に校門に着いた。


「あたし右。」

「俺、左。」



「じゃ、ここまでかぁ。

 ばいばい、また明日~」



手を振って歩き出そうとした桜井を、

俺は反射的に引き止めた。


「なに、深木―」


桜井の目が驚きに見開かれた。
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