初恋プーサン*甘いね、唇


。・*○*


小さいころから見慣れた景色は、けれど雲のように少しずつ、私たちが気づかない程度の速さで様変わりしている。


図書館前の歩道には、ケヤキが植えられ、四季折々の表情を見せる並木道となり、近くの三叉路には、今までなかった信号がついた。


車道をはさんだ空き地には、24時間とまではいかないけれど、夜遅くまで開いているコンビニもできた。


つい最近では、図書館の横にも何かができるらしく。


大きな青いビニールシートで覆って、工事をしている。


「ここの音、昼間うるさいわよね。何ができるか知らないけど、ほんと、どうにかならないのかなぁ」


美咲は、前を通るたび憎々しく文句を言うけれど。


これも、近代化していく街に生きる者の宿命かもしれない。


何かが消えて、何かが金属音の産声をあげながら生まれる。


雰囲気も変わり、行き交う人たちも移ろう。




私も、変わる時期なのかな……。

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