甘い旋律で狂わせて
柔らかな眼差しが、痛いほどに向けられて。

唇をなぞる先生の指が、あたしの心を奪っていって……。


気がつけば、金縛りにあったみたいに体が動けなくなった。



「してやるよ、デート。もう、先生じゃなくなるから」



いつもと違う真剣な顔で言って、先生は少しづつ顔を近づけてきた。



「え……?」




思わず目を瞑った瞬間……



額に柔らかな感触を感じた。



そっと目を開けると

あたしの額にキスをしている先生の姿が目に入った。


その表情があまりに切なくて。


あたしはただ呆然と、額に柔らかな熱を感じていた。




「永都……先生?」


「まだ生徒だし、これで我慢しといてやるよ。」



そう言ってニヤリと笑った先生は、あたしの頭をポンポンと叩いた。



「ど、して……?」


永都先生はネクタイの歪みを直しながら、あたしに鮮やかな笑顔を向けた。


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