甘い旋律で狂わせて
「だけど永都は、そんなネオを少しも責めなかった。あの子は優しい子だったから、ネオの痛みも全部受け止めていたんだと思う」



薫さんの言葉に答えられずに、あたしは俯いた。



「ごめんなさいね。ショックだったでしょう?こんなこと、聞かされるあなたもきっとつらいでしょう」


「いえ……」



薫さんはあたしに気を使って、慰めるようにそう言ったけれど


つらいなんて、そんな感情だけでおさまりきらなかった。



「薫さん。あたし、今日はもうそろそろ帰ります」



ドクン、ドクンと、心臓の音が速くなっていく。



ギュッと握りしめた手の平には、汗が滲んでいた。

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