LOVELY☆ドロップ

それは隣にいる祈も同じで、彼女の場合は背が低いから腰までびっしょりと濡れていた。


ああ、大変だ。

いくら閻魔大王のような恐ろしい雰囲気をかもし出しているとは言え、彼女はまだ抵抗力がない子供だ。

早く帰らないと風邪をひいてしまう。

とりあえず、建物の中に非難しなければ……。

ぼくは祈の小さな肩を押してふたたび自動ドアをくぐると建物の中に入った。


そうして少し落ち着くと、あることがふと頭の中に過ぎった。


それは何かというと……。


「……洗濯物も干しっぱなしだ」

と、いうことだ。

今朝、天気予報でも降水確率は10パーセントだと言っていた。

日頃きちんとできなかった洗濯物を一気に済ませ、こうして祈とデパートまでやって来た。

そういうことで、ベランダに干しっぱなしの洗濯物は洗濯した時よりもずっとずぶ濡れ状態だろう。

ああ、今日で溜まっていた洗濯物を解消しようと思って干したのになぁ~。

なんて考えているぼくのこの発言は、けれど祈の新たな攻撃を与えるスキを作った。


「ええ? パパ、さいあく。さいてー」

彼女の細い眉毛はつり上がり、小さな口はへの字に曲がっていた。



――はい。

うん、そうですね。

ごめんなさい祈さん。


パパは、さいていさいあく人です。


口が達者な祈に頭があがらない。



「……面目ない」

思いのほかダメージを受け、うなだれるぼくに、祈は止めを刺してくる。


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