LOVELY☆ドロップ
『君を守りたい。
ただそれだけなんだよ……』
俯けた耳元にそっと愛を告げる。
「……あたし……本当はすごく心細くて……。
ひとりで子供を育てる勇気さえなくて、でも、子供を見殺しにすることもできなくて」
「もういいんだ。あとはぼくたちに任せてくれればいい。
なんたって、育児のエキスパートのぼくの母親だっているんだから」
「でも……お母様とお父様はなんておっしゃられるのか」
「母さんはもちろん承諾済みだし、我が家の家系は女性が強いからね。父さんはもちろん、母さんの意見に逆らえないよ」
母さんのこれは事実だ。
ぼくの父親は口が達者な母さんには勝てない。
――いや、母さんに勝てる存在はいないんじゃないか?
なにせこの28年間の中で彼女が敗北した姿を一度だって目にしたことがない。
そんなことを考えてしまうと、ついつい眉間に皺が寄ってしまった。
「それは……とても頼もしいですね」
ぼくがうんざりしていると、クスクスと笑う声が聞こえてきた。
その声がとてもくすぐったい。
だけど笑い声だけじゃなくて、笑顔も見たいんだ。
両手で彼女の頬を包み、彼女の顔を持ち上げる。
そこに見えたのは、大きな目を潤ませ、頬を染めた今まで見たことがないくらい、可愛らしい表情だった。
――もうだめだ。
これに耐えるだけの理性はもう、ぼくの中にはない。