マスカレード【仮面de企画】
「たっくん?」


よっぽど驚いたのか、美幸は子供の頃の愛称で俺を呼んだ。


「知り合いか?」

夜光がきいた。


「親戚だよ。滝田美幸――怪しい奴じゃない。ただの女子大生さ」

「だが、ここはただの女子大生が来るようなパーティーじゃないぞ」


確かに


「美幸、お前どこでチケット手に入れた?」

「わたしは志鶴のお供。亜由美と三人で来たのよ」

「圭吾は?」

「来てないわよ。志鶴が友達と行きたいって言い張ったみたい」


馬鹿言うなよ。

あの圭吾が恋人を一人で外出させる訳がない。

きっと、この会場のどこかにいるさ。


「お姫様はどこだい?」

「下にいる。真っ赤なドレスよ。亜由美と一緒だと思う」


俺は下に目をやった。

あれか――ホールの中央に深紅のドレスが見える。


「『お姫様』とは?」

夜光が苛立ったようにきく。

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