先生とわたし




トントン…


「入るよ。」


「ん~。」


服、脱ぎっぱなしだし…。


ん、これ誰の匂い?

祐チャンの服を持ち上げると、初めて嗅ぐ匂いがした。

タバコじゃないし、美咲サンの匂いでもない。

でも、女性ものの香水の匂いだ…。

ついでにキスマークも付いてるし…。


まっ、宴の席だからしょうがないのかな…?



「上がっていいか?」


「あ、うん。」


お風呂入る時、キスマークのところ擦らないと…。





「いいぞ。」


「うん♪あ、祐チャンの服汚れてたから擦ってみるけど、落ちなかったら投げてもいい?」


あえてキスマークだとは言わないでおく。


「…あぁ。悪いな。」


「ううん。入って来るね♪お酒は冷蔵庫に入れておいたから。」


「分かった。」



本当なら、擦らずに捨ててしまいたい。

でもそうする自分が許せない。


この人は誰なのか分からないけど、学校の先生なのは間違いないし、祐チャンにとっても私より似合うんじゃないか…。


それならそうと、私が退けば祐チャンは幸せになれる。何も我慢とかしなくても済むんだし…。



考えれば考えるほど悪い方へと進んで行って、涙で顔が酷い事になってる。

冷やさないと祐チャンに不審がられる…。







「汚れ落ちたっけ?」


「どうだろう…。あとは洗濯機が、どれだけ頑張ってくれるか。」


「そっか。何付いてたんだ?」

「…油。」


やっぱり口紅だとは言えない。


「唐揚げの油でも飛んだんだろ。」


嘘。


だってキスマーク付いていたの、背中の襟だもん。


「…唐揚げいいなぁ~」


「今度作ってよ。」


「考えとく。もう寝よ。」


「うん。おやすみ♪」


「おやすみ♪」




………




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