スピリット・オヴ・サマー
「そう言えば憲治君、今は何してるの?会社員、って風じゃないけど。もしかして、…学生?」
紅茶を注ぎながら千佳子が尋ねる。憲治は、ふむ、と少し黙ってから面倒そうに応えた。
「いや。でも、会社員って訳じゃない。バイトだ。」
「…、悪いこと聞いたかなぁ。ごめん。」
「構わないよ。別に…。」
「まぁ、こんな御時世だから。私にしたって学校出てからどうなるんだか…。」
ポットと揃いの、白い陶磁のカップを差し出す千佳子。白い薬指にシルバーリングが光った。言葉が淀む。
紅茶を注ぎながら千佳子が尋ねる。憲治は、ふむ、と少し黙ってから面倒そうに応えた。
「いや。でも、会社員って訳じゃない。バイトだ。」
「…、悪いこと聞いたかなぁ。ごめん。」
「構わないよ。別に…。」
「まぁ、こんな御時世だから。私にしたって学校出てからどうなるんだか…。」
ポットと揃いの、白い陶磁のカップを差し出す千佳子。白い薬指にシルバーリングが光った。言葉が淀む。