スピリット・オヴ・サマー

　北中の目前には、田園を東西に突っ切る広域農道が横たわっている。1.5キロは猶にある直線の舗装道路だ。車もほとんど通らないので、ここはランニングコースとして重宝されている。ついさっきも、ジャージの一団が「二人」の前を横切って行った。
「んだ、厳密には通学路もおらのフィールドに含まれるなだども、校舎が中心だがらな、あくまでも。他のモノの影響も受けっから、通学路上は力的には弱いんだァ。」
　憧子は学校の外では「生きられない」のだ。憲治は、ふと、そう思った。