森林浴―或る弟の手記―



佐保里姉さんと修介の部屋の前には一日三回、食事を置きましたか、どちらも手をつけてありませんでした。


私と幸乃は赤ん坊を抱えながらどうしたものか考えましたが、特にいい案は浮かびませんでした。


でも、少しした頃から、修介の部屋の前の食事が減り始めました。


私はそれに安堵しました。


続いて、佐保里姉さんの部屋の食事も減り出しました。


二人とも、時間を掛けてでも早苗のことから立ち直ってくれている。


そう思えました。


宗一郎は母を恋しがる素振りは見せたものの、それでも順調に育っていきました。


修介が初めて宗一郎をその手で抱いたのは、宗一郎が生まれて半年程経った頃でした。


ある日の朝、居間に宗一郎をあやしながら行くと、そこには修介の姿がありました。


< 153 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop