Honey×Kiss*幼なじみは王子さま

「オレが泣く前に行け」



背中から聞こえる楓くんの声はいつもより小さく、弱々しい……。



「……わかりました」



気持ちを察した私は反対側へ足を進める。


ちょうどその時



「おい、愛生。恋愛なんてな好きになったモン勝ちなんだよ。梓が誰を好きであろうがお前はお前の気持ち伝えてこい」



普段通りのキツい口調で言う楓くんの声が聞こえて。


また涙が一粒頬を伝った。


意地悪で、優しくて、私のことを好きになってくれた楓くん。


私が女子に絡まれた時、一番に助けに来てくれた王子さまとの"偽恋人ごっこ"が幕を閉じました。



*王子さまに「ありがとう」と「サヨウナラ」*



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