Honey×Kiss*幼なじみは王子さま
「隣座っていいか」
文庫本を手に持つ楓くんが目の前にいて。
私が答える間もなく隣へ腰を掛けたのです。
「お前ほんとに本が好きなんだな」
ペラペラとページをめくりつつ視線を交差させる楓くん。
「はい。読んでて楽しいですよ」
話題を振られて素直に返す私なんかそっちのけで、楓くんは黙り込んで本を読み出した。
私も邪魔にならないよう自分の世界へと入る。
…んですけど。
近い、です。
ちょっと動いたら肩が触れそうな距離で。
変な緊張が体全体を電流みたいに駆け巡る。