アザレア
胃のむかつきが治まったのを見計らい、「今日は休め」と社長が告げた。


が、

「しかし……!」

どうしても休みたくないと駄々をこねる私に、渇いた溜め息を漏らした。


提案を飲まない私に対して、苛立ちを表すかのように組まれた社長の腕の時計を盗み見れば、そろそろ出社しないと始業に間に合わない時間で、

「私なら大丈夫です。それに今朝は全体ミーティングがございますから」

よろめく体を叱咤して、床から立ち上がる。


だけど、身体は正直なようで。

「……っ!!」

再び襲われた胃のむかつきに私は抗う術を持たず――うずくまって激しく咳込むと、
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