雨の日は、家に帰ったらまずお湯を沸かすの
その間に朝洗い残した食器を洗う
洗っている途中で、怒ったケトルがお湯が沸いたことをおしえてくれる
「ちょっと待って」なんて子供に言うみたいに怒るケトルに話しかける
手を拭いたら「お待たせ」なんていいながらケトルにやさしく手をかけながら火を消してあげる
陶器のカップに沸かしたばかりのお湯を注ぐ
ケトルが興奮している
私が悲鳴を上げる
「熱いっ」
けれどそのまま実行、気にしない
ケトルの口からはしっかりお湯が出ているし、陶器のカップにはしっかり八文目までお湯が注がれた
少し待ってみる
デジタル時計が無言の時を刻んでいる
待っているうちに考えてしまった
今日の学校での出来事、ムカついたら丁度いい時間になっていた
その間なぜかケトルを持ったままの私
気づけば右手に重さをずっしり感じる

陶器のカップからお湯を捨てて今度はココアの粉を入れる

ケトルは右手、左手にはお気に入りのティースプーン
カップをくるくる
お湯はぼとぼと

白い湯気が出た

マスカラののった睫をバサバサ

カップを鼻に近づけてしばらく…

どこかでサイレンが聞こえる

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