『優しくしてください。』



[太陽、またね!]



そう言って、手を離そうとすると
逆に握り返されてしまった。



[‥‥美憂またな。]



柔らかく微笑んだ太陽は
あたしに触れるだけのキスをおとす。



最後のキスが優しいなんて
反則じゃないか。



振り返ることなく歩き進む二人。

名残惜しそうに後ろに続く影。



あたしは太陽の手の感触を
忘れないように、と

右手で左手を包み込んだ‥―



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