蜜色オフィス


「甘いじゃん。
宮坂って、他人とかどうでもいいってスタンスだけど、芽衣だけには違うし」
「え、私にもそんな態度だよ。
最近は……、なんかちょっと違う気もするけど」


3週間前、うっかり泊まっちゃったあの日から。
ちょっとだけ、宮坂が変わったのは認める。

けど、それまでは、私を含めた他人に興味なしだったハズ。
少なくとも、私はそう感じてた。


「最初から違ってたよ。
同期の中でも、芽衣にだけは自分から話しかけたりしてたし」
「それ、席が隣だからってだけじゃない?」
「違う違う。私そういうの鋭いから絶対そう。
他の同期が気付いてるかは分からないけど、宮坂って、芽衣と話す時だけ少し表情が柔らかいから」
「……」
「でも、宮坂本人もそういうのを芽衣とか周りに隠してるっぽかったから、こっそり見守ってたの。
甘酸っぱくていいなーって、こっそりニヤニヤしながら」
「……それ、完全に見守ってるんじゃなくて楽しんでるよね?」



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