蜜色オフィス


「経緯は分かった」


説明を聞いた宮坂が、そう呟く。

静かな部屋には、私と宮坂のふたりきり。
オレンジ色のダウンライトや間接照明が、やわらかい光で室内を照らす。

私が座るのはベッド。
宮坂は、その近くにある一人掛けのソファーに腰掛けていた。

しかし、ダブルベッドって……。
沖田さんの顔を思い出して気持ち悪くなる。


「宮坂は、沖田さんが社長の息子だって知ってたの?」
「……ああ」


宮坂が、私をチラッと見た後それだけ言う。

本当だったのはかなりの驚きだったけど……。
そんな驚きを素直に表せないのは、重たい空気のせい。

……なんだろう。
宮坂、いつも口数少ないけど、今日はいつもに増して少ない。

っていうよりも。
機嫌が悪い……?



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