蜜色オフィス


でも……、何度考えてみても答えは一緒。

沖田さんにひどい噂を立てられて、社内での立場をなくすのか、私と別れるか。
どっちが宮坂にとってマイナスなのかは、考えるまでもない。


どんな噂を立てられたって、宮坂はきっと顔には出さずに仕事に打ち込む。
周りにイヤミを言われながらも、毎日出社して、仕事をこなすと思う。

宮坂はポーカーフェイスだし、周りの言ってる事なんてあまり気にしないかもしれないけど……。
そんなの、私が耐えられない。

仕事をきちんとして結果を残してきた宮坂が、ひどい事言われるなんてイヤだ。
今までの評価が、沖田さんなんかのせいでゼロになるのは……、絶対にイヤ。


だから……、答えは決まってる。
昨日、沖田さんに選択肢を迫られた時点で、決まってるんだ。

なのに……。
なのに。



「あ、しまった。薬忘れた」


食べ終わってから、ポーチを漁っていた梢が言う。



< 193 / 302 >

この作品をシェア

pagetop