蜜色オフィス


「早川、薬飲んで」


帰って来た宮坂にされるまま薬を飲んで、アイスノンを枕にして布団をかけられて。
そんないたれりつくせりの看病の中計り直した熱は、38度7分。


「また少し上がったな……。
俺、朝までいるから。とりあえず、今はゆっくり休んで」
「……ん。ありがと」


おでこを撫でる、大きくて少し冷たい手。
それに胸がきゅってなりながらも、熱にうなされるまま眠って少しした時、ケータイの着信音が鳴り響いた。


「ごめん……、切っちゃって」


とてもじゃないけど出られる状態じゃなかったから、少しだけ目を開けて宮坂にお願いする。
数秒後、耳障りに感じた着信音がしなくなった。

宮坂が切ってくれたのか、向こうから切ったのかは分からないけど。

静かな部屋が戻ってきて、そのまま眠りについた。



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