蜜色オフィス


「あ……、宮坂…っ」


なんで、こんなに好きなんだろう。
なんで、こんなに―――。

キスを終えて、乱された呼吸を整えながら見つめていると、宮坂が笑う。


「……俺も」


ぼんやりした頭で、どういう意味だろうって考える。
『俺も』なんて返事に繋がる言葉を何も言ってないのにって。

そんな私に、宮坂が覆いかぶさるみたいにして、耳元でささやいた。



「俺も……、愛してる―――」


宮坂の体重を感じながら、涙が一粒頬を伝って流れ落ちる。

なんで、私が思った事が伝わったんだろう。
そんな疑問は、また熱を持った宮坂と涙に邪魔されて聞けなかった。





< 251 / 302 >

この作品をシェア

pagetop