隣の席のキミ



さっきの事は見ていない事にしよう…そう思えば思うほど、俺はあの二人の姿を思い出してしまう。
頭から消えない…。
それとともに、込み上げるむなしさと嫉妬。
俺の頭はめちゃくちゃになっていた。
その日の夜、俺は眠れる事はなかった。




次の日の朝。
案の定、目が重い。
あれからずっとあの二人に頭を悩まされた。
いや、俺が勝手に悩んだだけ。
食欲がなかったのか、朝ご飯もほとんど喉を通らなかった。
「藤田、おはよ~!」
突然、声をかけられて、びっくりした。
聞き覚えのある声。
振り向くと山城さんだった。
俺はどう対応していいか分からず、
「お、おう」
と頷いて、そのままスタスタと歩き出した。
今は、喋る気がしない。
いや、まともに話せる気がしないから。
その様子にどこか違和感を感じたのか、山城さんは俺についてきた。
「ちょ、待ってよ~。なんで逃げるの?」ますます、どうしていいのか分からなくなる。
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