守るべきもの
(今、何時だろうか?)

私は、修ちゃんの胸に頭を預けて、夢と現実の狭間を漂っていた。


修ちゃんは、右手で私の腕を、左手で私の背中を撫でていた。


「なぁ、沙依?」

「ん?」

「この事件が解決したら、結婚しよう。」

私は、黙っていた。

「毎日、沙依に会いたい。こうやって、毎晩一緒に寝たい。ずっと、一緒にいて歳をとりたい。」
まだ、私は黙っていた。
「沙依の事を、オレの家内ですって、皆に言いたい。死ぬ時には、沙依の胸で死にたい。」


私は、寝た振りをして返事をしなかった。

返事は、事件が解決して、私が“生きていたら”にしよう。


出来ない約束はしたくなかった。


修ちゃんは、私が寝入ってしまったと思ったのか、私の肩に布団を掛けてくれた。
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