守るべきもの
大橋が、3人分の缶コーヒーを持ってやって来た。


「ありがとうございます。」


沙依の声は緊張していた。


「沙依、この男を覚えているか?」


沙依は、ちらっと写真を見た。顔色が青ざめたのが分かった。


「掃除の…」


「そうだ。名前は寺島学。こいつについて、覚えている事を教えてくれ。」


大橋の携帯電話が鳴った。


「寺島の自宅に行った、風間からだ。」


大橋は、その場を離れた。


「毎日、手紙とか花束とか渡しに来てた。断ってたんだけど、ある日『殺してやる』って、言われたの。でも、業者が変わって、そんな事もなくなったから…」


「なんで、その時にオレに言わなかった?」


「だって…『殺してやる』なんて本気で言ってるなんて思わなくて」


「本気のヤツもいる。」

「この人が犯人なの?」

大橋が、電話を終えて戻って来た。


「中田。ちょっと話がある」
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