守るべきもの
「分かりました。すぐに向かいます。」


電話を終えた修ちゃんは私を見た。


「仕方ないよ。仕事でしょ。」


私は、無理に微笑んで見せた。


「本当に悪い。また連絡するから。」


修ちゃんは仕事の顔になっていた。修ちゃんは警視庁の刑事だ。


だから、私は修ちゃんの前では泣いたり、ワガママを言わない事にしている。


修ちゃんが困らないように。私をキライにならないように。


「じゃ、行って来る。」

「気を付けてね。」


修ちゃんは、手を振ると家を飛び出した。
< 6 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop