守るべきもの
「ご足労頂いてすみません。」


修ちゃんの上司の前田課長が頭を下げた。


前田課長とは、何度か食事した事があった。


「村山先生が殺されたって…」


「えぇ。そこで、こんな物が見つかりまして。」

前田課長は、透明なビニールに入った紙切れを私に見せた。


その紙には名前が書いてあった。


① 村山 敬
② 長谷川 祐司
③ 後藤 沙依
④ 清水 佐知子
⑤ 飯田 三郎


「私の名前!?」


「この5人は、同じ病院に勤めていますね?」

「はい。」


なんなんだろう? 訳が分からなかった。


「この5人に、何か接点はありますか?」


いつもは、大きな声の前田課長も、今は呟くような小さな声だった。


私は、一生懸命考えたが、接点はなかった。


「ゴメンなさい。お役に立てなくて。」


「いや、いいんですよ。それよりも、充分気を付けて下さいね。」


そうか、私も殺されるかもしれないんだ。


全身に鳥肌が立ち、自分で自分を抱き締めた。


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