彼と彼女と彼の事情
この状況下、かなりの注目を浴びている。
なんせ、ここは病院のエントランスに通じる場所だから人通りも多い。
「ねぇ……」
抱き締められた隙間から郁人を見上げると、
「あんまりジロジロ見んなよ!」
耳まで真っ赤にした郁人は私から顔を背け、照れた様子だった。
だったら、こんなところで抱き締めなきゃいいのに!
思わず、口を尖らせた。
「なぁ、本当に忘れたのか?それとも、答えられないってことなのか?」
「…えっ?」