彼と彼女と彼の事情


そんな彼の返事は、あまりにも残酷だった――。 


「奈緒のことは今でも好きだよ。誰よりも愛してる。
でも……俺は奈緒と結婚することはできない。
だから、俺たちこのまま別れよう」


「――…ッ」


顔色ひとつ変えない隼人の言葉は、再び私をどん底に陥れた。


たちまち心臓に留めを刺されたような、鋭い痛みが広がった。


「そんなぁ……。
じゃあ、私たちの3年半って、いったい何だったの?
どうして、今まで付き合ってきたの?」 


高まる感情が抑えられない。

心臓がバクバク音を立て、肩で息をするのもやっとだ。


悔しくて悔しくて、隼人に涙なんて見せたくなかったけど……


そんな感情とは裏腹に、拭っても拭っても、涙がとめどなく頬を伝っていった。 


< 4 / 300 >

この作品をシェア

pagetop