彼と彼女と彼の事情


「うん。元気にしてるよ。
あっ!でも、最近ちょっと凹んだけどね」


「ん?なんかあったのか?」 

「うん。……あれっ、隼人から何も聞いていないの?」


「えっ?なんだよ、兄貴からは何にも聞いてねぇぞ!」 


「そうなんだ」


意外だった。


てっきり知っているとばかり思っていたから。


私が事故に遭ったことなど、初耳だという。


それも、郁人の優しさや気遣いとも思ったのだけれど――。 



< 56 / 300 >

この作品をシェア

pagetop