ワイルドで行こう
「荒れているでしょ。私も仕事ばかりで、休みはなにもしなくて……」
「特にあの梅、剪定した方がいい」
 剪定って。琴子など、そんなこと考えたことも無い。走り屋の『思うままに生きている男』と思ったけど、なんか急に生活感見えて来ちゃったんだけど? と琴子が唖然としていると、また彼モードが全開に。
「お母さん。あの梅とか、剪定した方がいいですよ。お父さんが残した樹なんじゃないですか。咲かないともったいないでしょ。なんなら、知り合いの良い業者を紹介しますよ。料金も相談するし」
「ああ、気にしていたのよ。私がしたいけど、この足になってすっかり怠けちゃって。いいのかしら。お願いしちゃって」
 ちゃっかり母ちゃんの母も復活。
「俺で良かったら、任せて頂けませんか。業者との話し合いが不安だったら、琴子さんと一緒に話し合えるよう俺が仲立ちしますから」
「そう? そうしようかしら」
「あ、車に名刺ファイルがあるから持ってきますね」
 いちいち迷っている琴子など蚊帳の外。彼と母が段取りを決めてしまった。
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