ワイルドで行こう

 .リトルバード・アクセス《4a》




 学校での休み時間。クラブ活動で使っている視聴覚教室にひとりで行って、こっそり東京土産のショップバッグを開けてみた。
 

 ほんとうに大人っぽい、でも小鳥でも抵抗感のないシンプルなワンピースが入っていてますます驚いた。

 黒くてシャープな、シャツ襟のワンピース。両胸のポケットがサファリ風で甘くないクールテイスト。これなら着たいと思った。でも仕立てから素材から、ほんとうの大人が着こなすものだと小鳥でもわかった。もしかするとママが着た方が似合うんじゃないか、と。

 でも、嬉しい。小鳥はそっとそのワンピースを頬に寄せた。

 だが、すぐに花梨ちゃんと竜太が険しい言い合いをしながら入ってきたので、小鳥は慌ててワンピースをバッグにしまった。

「なんだよ、先客がいるよ」

 竜太のチッという舌打ちに、小鳥もさっそく眉をひそめヤツを睨んでしまう。ああいう態度がいちいち気に入らないから、この前みたいな喧嘩に即発展しやすい。でも今日は我慢我慢。

「もういいよ。誰もいない静かなところで、ゆっくり話し合いなんていらないからっ」

 今度は花梨ちゃんがかなり怒っている。どうやら二人は誰もいない、でも馴染みのある部屋で二人きりで話し合うつもりで来たようだった。





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