ワイルドで行こう

 .リトルバード・アクセス《4b》




「そうだな。小鳥、翔に運転してもらって、相棒がどんなヤツか確かめてこい。翔、頼むわ。二時間ほど時間やるからよ」

 親父さんまでそんなことを言いだしたので、小鳥は唖然としてそこに突っ立っているだけ。

「わかりました。自分の車だと体感するしないでは、整備する時のイメージも違いますからね」
「おう、そりゃいいな。じいちゃんもそう思うわ。行ってこいや。小鳥」

 翔兄も矢野じいも。そこには男と女が二人で出かける――という感覚を持っている人はいないよう。MR2の先輩オーナーと後輩オーナーの、引き継ぎ儀式に行って来いと言ってるようなかんじだった。

「小鳥、行こう」

 大好きなお兄ちゃんからそんな誘い。しかも助手席――。
 そうだ、あのワンピースを着て乗りたいな――と、一瞬だけ思ったけど。

「うん。行く!」

 鞄とバッグを親父さんに渡し、小鳥は制服姿のまま翔と一緒に事務室を出た。

 青いトヨタ車に乗り込んで、親父さんの見送りで龍星轟を飛び出す。





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