愛を餌に罪は育つ
どんどん体がいうことをきかなくなってきている。


怖さに体が支配されていくように固まっていく。



『震えてるの?大丈夫、何も心配いらないから』



震えてる?


私が?


自分じゃ震えてる感覚が全くない。



『そうか、記憶をなくしてるから今の美咲にとっては初体験だもんね。僕に身を委ねてくれればいい』

「い――ッッ、いッッやッッッッ!!離してッッッッッッ」



涙で視界がぼやけていく。


副社長――助けてッッ――――。


どんなにそう願っても副社長が駆け付けてくれる事がない事は分かってる。


だけど、分かっていても副社長の顔が頭から離れなかった。



「も――い、いッッ――好きにッッすれ、ばいい!!私も好きにさせてもらうからッッッッ!!」

『僕たちは離れられない運命だ。美咲が何を想おうと僕たちはずっと一緒だよ』



これから訪れる悔しさと絶望、そして更なる恐怖を考えると涙が止めどなく溢れ出た。


朝陽にとって私はいったいなんなんだろう。


私は今ようやく確信した気がする。


朝陽に対して特別な愛が少しもなかった事を――。


ごめんなさい――。


誰に対してかは自分でもよく分からないけど、何故だか謝りたくなった。






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