愛を餌に罪は育つ
腕時計を見るともう十九時を回っていた。


秋が帰って来る前に帰らなきゃ。



「朝陽」

『ん?』



食事をしている手を止め、朝陽は笑顔を向けてきた。



「朝陽には本当に感謝してる。行き場を失った私を面倒見てくれて本当に助かったし嬉しかった。でも――」

『止めてよッッ!!そんな話聞きたくないッッ!!』



私の言葉を遮り、涙目で苦しそうに顔を歪める朝陽。


彼のフォークを持つ手が震えている。



「もう私の事は忘――」

『止めろって言ってるだろッッ』



興奮気味にまたしても言葉を遮られてしまった。


だけど段々私も腹が立ってきた。


冷静に話をしたいが、自分の事を棚にあげてこの態度はあんまりだ。


まるで自分の方が被害者だとでも言いたげな顔。



「浮気してたくせに」

『何言ってるんだよ!?誤解だよッッ!!』

「今も浮気してるんでしょ?私の事はもういいからその子と付き合えばいいじゃない」



朝陽は眉をつり上げ握りしめた拳をテーブルに叩きつけた。


ここは個室で周りにいる人は見えないけど、恐らく今の音で周りのお客さんの注目を集めているだろう。





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