愛を餌に罪は育つ
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トクンットクンッと心地の良い音がすぐ近くに感じる。


目を開けそっと見上げると、秋の整った顔が見える。


寝てる時まで格好いいなんて本当反則だよ。


薄く色気のある唇を見ると思わずキスをしたくなってしまう。


私ももう少しだけ眠ろう。


再び目を閉じようとした時、秋の首筋――顎の裏辺りに変わった模様の痣が見えた気がした。


何故か急に鼓動が早くなり、もう一度秋の首筋をよく見たがそこには痣なんて一つもなかった。


痣どころか染みもできものもなく、健康的な肌は凄く綺麗で滑らかだ。


見間違い――。


でもただの見間違いでこんなに痛いほど心臓が騒ぐだろうか。


もしかしたら昨日頭に浮かんだ知らない男性――その人と何か関係があるのかもしれない。


その男性の顔をどうにか思い出せないかと頭を使えば使う程、あの残虐な場面が浮かんでくる。


怖い――。


漠然とした恐怖がどんどん胸に広がっていく。


何に対して恐怖を抱いているのか自分でも分からない。


それが余計に私の中の恐怖を煽り立てる。






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